アイフォーン イレブン

先に投稿した記事では、iPhoneを侮蔑してしまいました。
断りを入れさせていただきますが、私はAppleを、珠玉のものづくりを行う最高の企業であると思っています。
Appleの企業理念と、そこから作り出される製品に敬意を持っています。
しかし、だからこそ、最高ではない点を見付けてしまうと、ひどく目に付くのです。
何の敬意も持っていない物に対しては、何の感想も抱きません。
iPhoneを侮蔑することは、私の敬意の裏返しなのです。

そんな私のエゴはiPhone 11という製品名に対しても反応してしまいます。
iPhone 11世代は「11」「11 Pro」「11 Pro Max」の3機種が発表されました。
これらの製品名には、私は好印象を持っていません。
もう少しスマートな名称であってほしかったという思いがあります。


【1.「11」】

iPhoneがホームボタンを排除し「すべてがスクリーン」になったとき、その製品名はiPhone Xとされました。
10ではなく「X」、それは従来とは全く異なる新しいiPhoneの到来を告げるものでした。
次の世代は「XS」とされ、新しいiPhoneの系譜が始まったことを知らされました。
ところが、ここにきて世代の表現がアラビア数字に戻されてしまいました。
Face IDが標準的なものとして普及したから、特別であるという表現が不要になったとでもいうのでしょうか。
違います。
何故ならApple公式WebサイトにはiPhone 8が残っており、現行機種として販売が継続されているからです。

Face ID時代の新機種を示す、適切な表現が発想できなかったから、妥協してアラビア数字の「11」にした、というのが私の理解です。
iPhoneなのに、止揚ではなく妥協があるというのは、悲しいことです。
私の理解は歪んでいるかもしれませんが、XSが11になったことには、凡庸な印象を覚えてしまうことは否めないと思います。
凡庸な、iPhone X以前の、進化が停滞したなどと揶揄された時代のiPhoneを連想させる、そんな製品名だと思います。。


【2.「Max」】

嗜み程度ではありますが、私にはiOSアプリ開発の心得があります。
iOS機器の画面制御機能に触れるとき、様々な気付きに遭遇します。
現行のiPhoneの画面が、何故あの画素数であり、解像度であり、あの寸法なのか。
Appleの設計意図を想像し、感心することがあります。
Maxな寸法には理由があるのです。

だからといって、Maxという名称が良いとは思いません。
ぼくのかんがえたさいきょうのiPhone、のような陳腐な印象を受けてしまいます。
旧来の「Plus」とは違うということを表現したかったのでしょうけれど、それにしてもMaxはあまりにも酷い。
Max。
安直さがMaxですね。


【3.「Pro」】

巷の様々な製品の等級表現にProという表現が利用されています。
特にソフトウェア製品においてProfessional Editionのような等級表現は頻繁に用いられます。
しかし、Apple製品で使われたProは、巷に溢れるProとは異なるものでした。
無印とは一線を画する、本当にプロフェッショナル向けの製品に与えられた称号、それがAppleのProでした。
Mac然り、iPad然り、一般的な用途であれば無印でも充分なところを、Proと冠された製品は更に飛び抜けた圧倒的な性能(と価格)を有するものでした。

ところがiPhone 11ではどうでしょう。
確かに無印とProには有意差がありますが、実用において体感できる差異が、Proを名乗るに相応しいほど大きなものではないと思います。
iPhone 11では、Apple製品が持つ「Pro」という名称の重さを、安易に使いすぎていると思うのです。
AppleのProを手にする喜びを軽薄なものにする、それがiPhone 11 Proだと思います。


上記1~3に記したように、iPhone 11世代のiPhoneの製品名は、とても相応しいものとは思えません。
ならば、どのような製品名とすべきだったのか。
私は、「iPhone」という名称を捨てるべきだったと思っています。
多機能な携帯電話、即ちスマートフォンとして誕生した初代iPhoneは、10年目にしてiPhone Xとなり、それ以前のiPhoneとは全く異なる新しいiPhoneになりました。
この時点で、多機能という付加価値を得た携帯電話などではなく、むしろ電話機能も備えた携帯コンピュータになっていました。
スマートフォン」を超越した機器として、phoneとは違う製品名を与えてiPhoneシリーズの後継機とし、新たな系譜を作り出せばよかったのではないかと思うのです。
将来、長期的にモデルチェンジを継続することを想定して一貫性のある製品名を考案しておけば、製品名から得られる統一感は製品そのものとAppleに対する好印象に繋がったはずです。

私がどのような想像をしてみたところで、iPhone 11はiPhone 11として発売されます。
新製品へのわくわく感は、製品名に影響されたりしない。そう信じたいものです。